Side 茜
震えるほどに綺麗だと感じる。
こんな彼女は知らないし、一瞬本当に別の人間じゃないかと思うほど。
乱して高めるほど魅力を増して、普通の女の子だったらこの辺で俺に呑まれて沈められるのに・・・・彼女ときたら貪欲。
更にもっとと求めて煽る。
決して普段見せないような快楽に染まる切なげな表情にこっちも気を抜けば呑まれそうで。
貪欲で大胆。
なのに駆け引きのように甘ったるい表情や言動で誘い。
まんまとそれに翻弄されれば・・・。
今こうして態勢入れ替えられ上になった彼女に口づけられて自分も応える。
凄いよ・・・ビックリだよ。
ねぇ・・・・、これ以上俺を縛りつけないでよ。
貪るように重なるキスにしばらく溺れ、重ねるたびに彼女のキスの上手さに酔いしれてしまう。
長い髪がさらりと肌をくすぐるのも欲を煽る。
いつもより長くストレートの髪は彼女を更に実際より幼く見せて。
滅多に崩れることのない顔が今ばかりは愛らしく扇情的に歪む。
長い髪をかき上げるように彼女の頬に指先を這わせ、名残惜しけれど唇を離して彼女を見上げた。
ヤバい・・・鳥肌が立つ。
えらく綺麗な女を奥さんに貰っていたのだと今更身に染みて理解。
「・・・・・び、美人ですね・・」
「・・・・・・・・・意味が分からない」
いやいや、わからなくないだろう。
どんだけ自覚ないんだこの子。
小さく細身の体なのにきりっとした大きな目。
肌は白くてさらりとしていて、微々たる胸の膨らみは逆に彼女を引き立てる魅力だとさえ思う。
あ~・・・・・・。
うん、
ってかさ・・・、
いや、薄々気が付いていたけどさ、
なのに軽く誤魔化していたけどさ。
「・・・・茜?」
「っ・・首かしげて見下ろさないで・・・」
俺・・・・完全に千麻ちゃんに惚れ込んでるよな。・・これ。
彼女の気持ちがはっきりしないからなのか、どこか自分のそれも誤魔化して流してきていたけれど、こうして肌を合わせてみればもう無理だ。
多分・・・一言【好き】というだけじゃ足りない。
そんな言葉で収まらない。
愛おしくて、大切で、・・・・・失えない。
「・・・・・・・千麻・・・・」
思わず名前を呟けば、軽く疑問を返すように首を傾げた彼女。
その仕草で白く華奢な肩から長い黒髪がさらりと滑り落ちて、そんな一瞬さえ酷く綺麗で息を飲む。