相変わらず色気もあったものじゃない会話を繰り広げながら抱きかかえられ寝室に入り込めば、薄暗い部屋に明かりをつけることなくベッドに下されそのまま押し倒された。
流れるように首筋に愛撫落とされ、気が付かないような仕草で着ていたパーカーを脱がされた。
私だって初な少女じゃあるまいし、彼の服の裾から素肌に指先走らせながら着ていた服を脱がせていく。
そして露わになった胸元にフッと唇を寄せると軽く甘噛みして刺激を与えた。
あ、スイッチ・・・。
お互いに肌を晒して触れ合えば、これまで先延ばしにしすぎていた欲求の限界。
驚くほど逆上せ上る体と頭で彼の頬を両手で包んでから唇に食いつけば、ほぼ同時に食い掛かるように口づけ返されベッドに沈む。
乱れた吐息や濃密なキスか漏れる音が部屋に響く。
それすらも欲を煽って早く早くと渇望して。
それに応えるようにキスを交わしながら器用に私の下着を脱がせた彼が、焦らすことなく指先をぐっと奥まで挿入して口の端を上げる。
鳥肌が立つ。
気持ちいいと体が歓喜して・・・、でもすぐに違うと不満を叫ぶ。
もっともっとと貪欲に叫んで啼いて、それを指先で感じた彼が私の耳朶を甘噛みしてから直に声の吹き込み。
「・・・・・焦らされたい?」
狡い質問。
本当は自分も限界で、焦らす間も惜しいくらいに渇望してるくせに。
私を。
「・・・・・焦らしてるうちに『出直し』に気が変わるかも」
「フッ・・・・狡いなぁ。遠回し・・・」
「狡いのはどっち?」
「・・・・・・ねぇ、・・・言って」
言葉を引き出すように私の唇に触れてくる彼の指先。
その表情が妖艶で扇情的で綺麗すぎて目を細める。
綺麗で我儘で寂しがりの上司。
どうしようもない夫。
欲しくて・・・・堪らない。
「・・・・・・もう・・限界」
「うん・・・」
「味見なんていらない」
「うん、」
分かったように、『俺は違うけど』みたいに虚勢を張らないでよ。
「して・・・・・、私が欲しいでしょう?」
「・・・っ・・・フッ・・・狡いよ千麻ちゃん」
私の補足の言葉に彼が眉尻下げくしゃりと笑う。
それに満足し、瞬間もう本当に限界だと欲情。
でもそれは彼も同様。
もう恥じらいとか躊躇いもない。
彼もあっさりその身を晒すと私に口づけ覆い被さり、それに腕を巻きつけ引き寄せた。
あ・・・、眩む。
体が・・・震える。
「・・・っーーーーあっーーー」
「ーーーーっ・・はぁっ・・・おかしくなりそ・・・」
同感。
おかしくなりそうよ。
埋められて満たされて、抱きしめている熱の感触に心底震える。