「英梨のお母さん、前から…病弱だったでしょ?


 それで…それでね…」


泣きすぎて、言葉をつまらせながら、ゆっくりゆっくり話した。


英梨は悲鳴をあげるように泣いていた。


「亡くなっちゃったんだ」


綾香からその言葉を聞いた途端、足の力が抜けて地面にへなへなと座り込んでしまった。


う…そ……?


目からは次々に涙があふれ出てくる。


「ありえないよ、だって…おとといまで元気だった…よ」


英梨は、服が汚れるのもおかまいなしに暴れていた。


右手に握りこぶしをつくり、力いっぱい砂だらけの地面に叩きつけていた。