私は小さな蛍光灯を消して、代わりに天井灯をつけた。真っ直ぐに机に向かい、埃の被った教科書類の中から、血だらけの右手で水色のファイルを取った。
 多くの綴じられたプリントから成績表だけを全て抜き取る。机の上に重ならないように並べて眺めた。
 高校の名前、二年三組、そして佐久間綾という私の名前。学年順位の欄には全て同じ数字が並んでいた。
 一位。
 その数字を明け渡すことはプライドが絶対に許さなかった。
 地元で人気のバンドのギターボーカル。強豪バレー部のエース。進学校の学年トップ。全てが揃っていなければ女王とは言えない。そして私は全てを失ったまま、明日には自宅療養を終えて三ヶ月ぶりに登校する。私にはその屈辱に耐える自信はない。
 その夜も私は眠らなかった。