私はその手紙を封筒に入れ、スタンドの電気を消した。カーテンの閉め切られた窓からは光が漏れることもなく、部屋は真っ暗になった。
 ゆっくりと自分の首に手をやってネックレスを外した。眼が慣れて、白い部分が浮かび上がる。
 ビーズ細工のように見えるが違う。
 その大量の飾りは全て同じ形をしていた。形、いや、顔と言うべきなのかも知れない。それらは全てチェスの駒の頭なのだ。それも全てクイーン。暗いとわからないが、白と黒を交互に並べてある。
 私はそれを手に取り、封筒に入れた。その封筒を適当に糊付けすると、壁に掛かったブレザーの内ポケットにねじ込んだ。三ヶ月着ていない制服から埃が舞った。軽く咳き込むと、鏡の前の小さな蛍光灯をつけた。鏡よりも先に、隣の本棚の上の二つの写真立てを見た。