夕方日が暮れる頃、外から誰かの怒鳴り声と叫び声が聞こえ玄関のドアがバタン!と勢い良く開いた。

『なんでなんだ!どうして君はこんなことを!』

『さっきも言ったわ!あなたには解らないだろうけど仕事上こうするしか方法が無かったのよ!こうするしか!』

ケンカだ…

ママ…ママが悪いんだよ?
パパはスッゴク怒ってるよ!!!
こんなに大きな声を出すパパを見たことない。

ママは玄関からさっそうと私の座っているリビングのソファーへと近づいて私の前に立った。
そして右手を大きく振り上げて何度も私の頬を叩いた。
『なんで言ったのよ!黙っときなさいよ!』
バシッバシッと3回程叩かれただろうか…
あまりにも現状を理解出来ず叩かれるのを避けようと自分の手で頭を覆う。
けれどピタリと叩かれるのが終わって
『辞めろ。出ていけ。』
そう静かに私の頭上で声がした。
恐る恐る見上げるとママの手をパパが強く握り止めていてママは歯を喰い縛り私を睨む。
そして、パパの手を振り払い玄関に落ちているハンドバッグを拾いに行き片手に持つと
『あんたなんか産まなきゃ良かった!!バカ娘!!』そう吐き捨てるとバタンとドアを締めてカツカツとハイヒールの音を立てながら居なくなった。

残されたパパと私は無言で話すこともせず時間だけが流れ私が見ていたテレビだけが音を立てていた。