だから未だに一人っ子でこれからもそう。

小さい時はママは仕事で居なくて寂しい時もあったけど頑張り屋のママの事が大好きだった。


けれどある日を境にママの事を汚いって思う様になった。
高校1年の夏、暑さでムシムシした教室で体調が悪く吐き気を我慢して授業を受けていた。
気分が悪すぎて保健室で休んでいたら保健室の先生がママの携帯に電話してくれて迎えをお願いするからって言ってたけどママは電話に出なかった。
きっと仕事中だから邪魔しちゃいけないって私は思って
『先生、一人で帰ります』
と言って早退した。
気分が悪くてやっと歩いているとある物が目に飛び込んで私は止まった。
目を反らせず。反らしたくなく、私はただ立ちすくみ、体の血の気が引いたのを忘れない。
そこにはママがいた。
綺麗な服をきてお化粧してスーツ姿の脂ぎとぎとの太っちょオヤジと腕を組み歩いてすぐそこのホテルへと消えた。

え?
今のママ?
どうしてホテルへあんなオヤジと入ったの?
訳解んなくて…信じたく無くて…私は悲しくなって頬を流れる大粒の涙を拭いも出来ず、振り向く人目も気にも止めず走って帰宅した。

すると夜勤から帰宅したパパと丁度玄関で鉢合わせになって、私の様子を見たパパがギョッとなっていた。
『どうした!?学校で何かあったのか?!いじめられたのか?!』

『ちっ…ちがっ…違うっ!!』
ヤバい。涙止まんない。

『は?!泣いてちゃ解んない!落ち着いてパパに話してごらん?』
そう言ってパパは抱き締めてくれた。

気が動転していた私は思わず
『パパぁ!ママが太ったオヤジとホテルに入ってくとこ見ちゃってっ!』
後先考えず、ママの事を考えずパパに話してしまったの。
パパは愕然として、そして冷静に
『どこのホテル?』
私に聞いた。
『駅前のピンクの看板の…名前は解んない…』

パパは抱き締めてた手を離して携帯電話を片手に仕事のカバンを放り出して走って行った。
きっとママの入って行ったホテルへとパパは向かった。