今度はパパが駆け寄ってきて

『良かった…良かったぁ…』
そう言って私のオデコを撫でてくれた。
私はママを見ていた。
パパの方は見ずにママを見ていたら…
ママの顔は苛立たしそうになりさっきまでの笑顔はなかった。
やっぱり夢じゃない。
私を階段から落としたのはママ?

『心配したんだぞ!お前はぞうさん公園の階段から落ちて頭をぶつけたんだ。ママは一緒に居たけど助けられなかったって酷く落ち込んでたんだ…』

うそ。
ママそんな嘘ついてるんだ?

ママは泣き出した。
そんなママの肩を寄せてパパは
『美波はもう大丈夫なんだから泣くな!安心しろ!』
って。

やだ…
やめてよパパ。
そんな女の肩を触らないで!
私だけを触っててよ!


そんなこと言えず私は目を反らした。

『ん?きついか?麻酔がまだ完全に取れてないから眠いだろ?パパが今夜は泊まるから安心して寝なさい。』

『いい!要らない!私は一人ででも病院泊まるから…ママを連れて帰って…お願い。』

パパが病院に泊まるなんてママが許すはずない。

私がこう言わないときっとママが泊まるなんて言いそうだったから先に断ったの。
ママが泊まって二人きりになったら何されるか解んないし…
今のママは私を憎んでるからきっとまた何かするはず。


怖い…怖い怖い。


『でも今夜は家族が誰か泊まってくれと先生にも言われたしママは家の事があるからパパが泊まるから心配すんな。』

『あなた!明日仕事でしょ?何も準備してきてないじゃない。美波の事は私に任せて。あなたは帰って大丈夫よ。』

ママが残るつもり?
やだ!
パパ気づいて!
お願い!
私に怪我をさせたのはこの女よ!!

いくら目で訴えてもパパは気付かない。
私は何も言えない。
今私がママがしたことを話したってきっとママは演技で泣きじゃくる。
そうしたらパパは私の話を作り話って怒るに違いない。
そうなることが予想出来るから今は何も言えない。