櫻井「とりま泣き止め」

『…ん…』

さっきとは反対に、優しい声。
櫻井に頭ポンポンされ、少しずつだが落ち着いてきた。

『落ち着いた…』

櫻井「そっか。……俺、水川に神村と付き合うことになったって聞かされて驚いた。まあ、信じてなかったけどさ」

たぶん、布団並べてるときのことかな。だからあのとき水川は部屋にいなかったのか。

櫻井「けど、お前にも付き合ってるって言われて…なんか、すごいイライラした。だからお前に強引にキスしたんだと思う。俺のものにしたくてさ」

『え、つ、つまり…』

櫻井「ったく…。察しろよバァカ」

両思いってこと…?あまり実感湧かないんだけど。

『…けど、あのキスはなかったと思う』

櫻井「ごめん、俺でも制御できなかった」

それで済むかよ。けど、それももうどうでもよくなってきちゃった。

『…浮気、かぁ』

別に構わないんだけど、バレたとき水川が傷ついてしまう。私はどれだけ人を傷つければ気が済むんだよ…。

櫻井「水川のこと?」

『うん。せっかく私を想ってくれてるのに…申し訳ないよ』

櫻井「そんなんバレなきゃいい話だろ。…あ、お前は俺のことどう思ってんの?」

いきなりすぎんだろおい。ていうかさっきのリアクションでわかるだろ普通。

『まあ…好き、だけど』

櫻井「素直じゃねぇなぁ」

『うっせ』

ウザいのは相変わらずだけど、とても楽しい。ファーストキスはあれだけど、終わり良ければすべて良し。私の海のように広い心で許してあげよう。