『な、何言って…』

櫻井「だから、俺と付き合ってみない?」

櫻井の目には光がなかった。濁っていて、希望なんか1つもないような瞳。

『私浮気とかしないタイプな…んんっ…』

唇に柔らかいものがあたっている気がする。何これ。
…え、na☆ni☆ko☆re☆

櫻井「はっ…」

あ…離れた…。
唇の感触がまだ残っている。
そっか…私、櫻井とキスした…いや、されたのか。
こんな形でファーストキスを奪われるとか…良い気しない。
恥ずかしさの次に湧き上がって来たのは悲しみや怒りだった。

慣れているようなあの感じ。キスすることになんもためらいも感じなかった、櫻井のあの仕草や発言。何、櫻井っていつもこんなことしてるの?

そう思った瞬間、怒りが込み上げて来た。

『いきなり何すんの…』

恐らく今私はすごい目で櫻井を睨んでいるだろう。鏡を見なくてもわかる。

櫻井「いや、ただ…なんとなく。雰囲気的に」

『何、それ…』

とても小学生とは思えない行動。中学生でもこんなことしないでしょ…。なのに、なんで…。

櫻井「?!お、おい…」

『ふざけんじゃ、ないわよ…』

涙が溢れてくる。好きな人にこんな形でキスされて、嬉しいはずがない。

『…なん、で…』

櫻井が怖い。いつもの櫻井じゃない気がして、すごく怖い。

櫻井「…っ、ごめん。単なる嫉妬だったんだ」

『へ…?』