目を覚ますと
わたしは来たことのない場所にいた。
黒で統一された綺麗に整理された部屋。
「だいじょぶ?」
声のした方を見ると
顔立ちのはっきりした
身長の高い男が立っていた。
そして彼に怒りをおぼえた。
「なんでとめたの?」
「え?」
彼はきょとんとしていた。
わたしは彼をキツく睨む。
「ねぇ!なんで?あんた誰だよ」
彼はため息をつく。
「自ら死を選ぶ奴にあんたとか言われても頭にくるだけなんだけど」
わたしはまた彼をキツく睨み返した。
「は?意味わかんない、あんたなんかわたしの気持ちわからないでしょ?」
わたしがそう彼に言うと
わたしの方に近づいてきて
いきなりわたしを強く抱きしめた。
わたしはいきなりだったので
驚いてしまい、抵抗もなにも
できなかった。
「ごめんな。」
彼は優しい声で呟いた。
「ごめんな、偉そうなこと言って。でも自分の命を無駄にすんな。俺はお前を止められて良かったと思ったんだから」
涙が溢れた。
そう思ってくれる人がいたなんて、、
わたしは久しぶりに
彼の胸の中で声を出して泣いた。
そんなわたしを彼は
優しく、強く、抱きしめてくれた。
「あと、あんたってやめて、ゆうきって呼んで」
わたしは小さく頷いた。