“ キスの記憶 ”は、夢だ、妄想だ!て言っていたけど、本当に夢にみてしまった・・・

その時の、塚本さんの体温や香りまで感じてしまって、私の妄想が進化している事に気付く。

この前、千晶と話した時、はっきりと「ない!」と言われた。私も「ない!」と同意した。この事は、もう千晶には相談できない。

私、本当に欲求不満!?自分で、何とかするしかない!どうすれば、この“ キスの記憶 ”を、忘れられるんだろう?

私なりに、悩んで、考えて、思い付いたのは『塚本さんに否定してもらう』

塚本さん本人に、さりげなく訊いてみて『ない!』と言われれば、私の妄想も、諦めがつく?のではないかと。

でも、これって結局、“ キスの記憶 ”は現実だって思いたいって事なのかな・・・


――そのチャンスは、思ったより早く巡ってきた。

その週の土曜日、私は、午前中だけ休日出勤をした。

出勤してみれば、営業一課の方では、高野主任、川村さん、塚本さんが出勤していた。二課では、津村主任を含む2名が出勤していた。

前日、残して帰った仕事をしたり、書類や伝票を片付けていたら、12時を過ぎていた。