私の位置からは、後ろ姿しか見えないが、うちのユニフォームを着ているし、背番号『22』は間違いなく塚本さんだ。

そして、ベンチに座る事なく向かい合って立っているのは・・・白石さんだった・・・!

何を話しているのかわからないし、白石さんの表情もよく見えないが、なんとなく緊張感のようなものは感じた。

こんな所で話しているという事は、2人だけで話したかった・・・ていう事だよね?

見ちゃいけない!行こう!て思うのに、身体が強ばって動かない。

何を話しているの?私が、気にする事ないじゃない!でも・・・でも・・・!

私は、息をひそめるようにして、その場に立ち尽くす。

白石さんが何か言った後、塚本さんに一歩近付き、肩にスッと顔をつけるような感じになる。

泣いて・・・いるのだろうか・・・?

白石さんの両手が、塚本さんの腕を掴む。

塚本さんにすがって、白石さんが泣いている・・・?

塚本さんの下ろされていた右腕が上がった。

ゆっくりと、白石さんの背中を擦る。

すると、白石さんが顔を上げて、塚本さんの顔を見る。

「陽平さん」