わけわかんねぇ。



惚れさせて、捨てる??



あたしがあの野郎に惚れるということか???



……………。




………。




やっぱりわかんねぇ…。





その後、あたしは庭に出ると暗闇の中で空手の型を練習していた。


びゅっ!びゅっ!


拳を前へ突き出すたびに風を切る音がする。



でも。



今日はなんか調子が悪いな…。


っていうか、最近あんまりやってても楽しくないや…。


「ふぅ…。疲れた。」


あたしは段差になってる所に座って、夜空を見上げた。


星が綺麗に瞬いている。



「じぃちゃん。あたし、空手の稽古、毎日ちゃんとやってるよ。…相変わらずお母さんに隠れてだけどね!」


あたしを空手の世界へ入れてくれたのは、今は亡き祖父だった。


あたしは、おじいちゃん子だった。