「いえ!!全然ッ!!全く!!!早川さんに相談に乗ってもらえると思ったら嬉しいです!!」


と、慌てて早口で答えるあたし!



すると早川さんはホッとひとつ息をつくと頬を緩めて、テーブルにある自分のコーヒーを眺めた。


「よかった……。美香ちゃんに嫌われたかと思っちゃった。」


「え!!?嫌う!?そんな馬鹿なッ!!あり得ませんよ!!そんなこと!!」



ガタッ!と、


あたしは勢いよくその場で立ち上がって早川さんに訴えた!



早川さんはそんなあたしを見て目が点状態に……!



そうだよ…。


早川さんを嫌うだなんてあり得ない!!



こんな素敵な人を!



綺麗なのにそれを全然鼻にかけないし、


芸術的な才能をお持ちのはずなのに全く自慢しないし、


前に『忘れられない人がいる』って言ってたけど男性に対してかなり一途な人だと思うし!



こんな人、この世の中にそうそういないって!!




と、その時……。


あたしの脳裏に突然、早川さんとは真逆で、どエロの “アイツ” の姿がチラホラと浮かんだ!!



そしてその偶像は決まってあたしにこう言う!





『馬鹿猿。ハハッ!』





ぬっ!!



冴木め!




む〜か〜つ〜く〜〜〜!!



「ほんと、誰かさんとは大違いだよ!ったく。…あの唯我独尊男めッ!!!」


くっそ~!あの野郎!


毎日毎日家に帰るなり、あたしに大量の瓦を割らせやがって!!


しかもわけわからん “W.T” と書いてある瓦ばっっかり半強制的に割らせるんだからさ!!



あたしにも “人権” というもんがあんだよ!!


まったく!それくらい公民の授業で習ったんだよ!!バァーーカ!!



すると澄んだ声があたしの耳に入ってきた。