「優子、ちょっと待ってよ!話があるんだ。」



「……っ。」


あたしの必死の声がようやく届いたのか、優子は教室の入り口で立ち止まってくれた。


こっちを振り向いてはくれないけど、あたしは優子の背中に問いかける。



「あの………、一昨日のこと。まだ怒ってるのか?」


「……………。」


「あたしさ、優子に嘘は言ってないから!えっと…、優子と主将って正直お似合いだと思うしさ!」


「……………。」


「上手く言えてないかもしれないけど、その……、 “人を好きになること” は、他人には止められないことだしな!うん。」


「……………。」


「あ、あの~……優子?」



優子の反応が全く無くて、どうしたらいいものかと困っていると……。



「……じゃあ、どうして協力できないの?」


「え……?」



優子があたしにそんな疑問をぽつりと口にしてきた。



「 “協力できない。” ってあの時、美香は私に言ったじゃない!美香は、…………本当は私のこと恨んでるんでしょ?自分から好きな人をとったから…。」



え!?恨む!??



なんであたしが優子を恨まなくちゃならないんだ!?