「悪かったよ、いじめすぎた。……ごめん。」


「……っ!」



冴木………。



冴木はあたしの頭を、撫でてきたその手で自分の胸に寄せた。



そして優しく、労わるように、


またあたしの頭を撫でた。



「ざ、ざえぎぃ〜〜!うぅっ。」



冴木の温もりが、奴と触れ合ってるオデコから伝わってくる……。


そして後頭部は、奴の撫でる手の感触でなんだかくすぐったい……。



すると冴木の声があたしの頭上から降ってきた。


「お前が泣いてる理由、なんとなくわかるから。俺。」


「……………………へ??」


泣きすぎてしまい、素早く反応することさえ今のあたしには出来なくなっていた。



泣いてる…理由……??



なんで冴木にわかるんだ…?



「わかるよ。今日柔道部の大会だったんだろ?それなら大方の予想はつく。だから……、わかるから、お前の涙見たらなんかムカついちまったんだよ。……あいつの為に泣いてるんだと思ったらさ!」


と、冴木はまるであたしの心の中を読みとったかのようにそう答える!




が、しかしである!





…ん!?ムカついた??


なんで???


なんで冴木が怒るんだ?



それに、 “あいつ” って誰のこと!?