「おい。黙ってないでなんとか言えよ?悲劇のヒロインぶってるけど似合わねぇぞ。」



「………っ!」




パアアーーーン!!




あたしは冴木の前まで行くと、ヤツの頬を思いきり叩いた!!



「ーーっなんだよ、冴木の馬鹿野郎!!人の気も知らないでッ!!!勝手に入ってくんな!!ノックくらいしろ!!この女たらし!色魔!少しは他人の気持ちを察しろおおぉぉぉお!!!!!」




シーーーーン




あたしは頭に血が上って、冴木に一気に暴言を吐いた!


泣いてる時の叫び声ほど疲れるものは無い。


そう思えるほどにこの時のあたしは息があがっていた。



「ぜぇ、ぜぇ、アホ冴木、参ったか?!ぜぇ、ぜぇ。」


あたしは悔しくて、また涙を溢した…。



するとゆらりと冴木が立ち上がる!!


そして冴木は殴られる前の時とは別人のように、酷く眼光が鋭くなっていた!!



「……………。」


「っ!な、なんだよ!?文句あんのかよ!!?お、お前がいけないんだぞ!?」


無言であたしに近づいてくる冴木……。



な、なんなんだよ冴木のヤツ!?


怒りたいのはあたしの方なのにっ!!