「家を出るときにヒロ君、 “夕飯いらない” って言ってくれたじゃなぁ~い!!…もう!あたしに気を遣っちゃって!オホホホホホッ。」


「ゴホッ。じゃ、じゃあ、この御飯は……?」


「あ、それ?美香の夕飯よ!でも変なのよね~。いくら呼んでも部屋から出てこないのよ~。あの子が食べないなんてまずあり得ないから、こうして置いといてるんだけどね?」


「……………。」


「あの子の好きなハンバーグだし。……何かあったのかしら?」


「……………。」


「ヒロ君…?どうかした??なんだか難しい顔してるけど?」


「……いえ。なんでもないです!あ、それよりも幸子さん。今日21時からBSの特別番組で『密着☆キム様 IN 原宿』をやるそうですよ?」


「な、なんですって?!キム様を密着?!ってあと十五分しかないわ!お風呂、お風呂!!」


ダダダダダ……



幸子は猛スピードで浴室へと急いだ…。



そしてヒロは先程幸子に見せたときの表情とは打って変わって、

どこか浮かない顔をしながらその大きなハンバーグを見つめていた……。