その数時間後ーーー




「一本！それまで！！」




主審が片手を上げ、試合の勝者が決まった！




「よし！！男子の予選もトップ通過ね！！」


「やったー！！勝つとはわかってたけど、まさか全勝なんてッ！！」


「ちょっと、一年生？あたしらも全勝したんだけどぉ〜？」


「ご、ごめんなさい！！」



キャアキャア





そんな賑やかな声が観客席から湧いていた。


ただあたしを除いて……。



試合はちゃんと見てた！


最後の渡辺主将の素敵な一本背負いがきまったところもちゃんと見てた！




だけど……。



あたしの意識はもっと遠い、別のところにあった。





優子。




違うよな？



渡辺主将と、付き合ったりとか………してないよな？！



あたしの胸には黒い霧のようなものがたちこめていたのだ。



ふいに視線を主将の方へと移す…。


渡辺主将はいつも通りの爽やかな笑顔で部員たちと勝利を分かち合っていた。