あたしは口をあんぐりと開いてその女の子を見ていた!



そんなあたしの衝撃的な顔に気がついたのか、主将がパッとその子の手から逃れて照れ臭そうに言う。


「おいおい。俺の応援はいいから、自分の高校の応援をしないと!な?」


「なによソレ〜。応援するのは当たり前のことじゃない!それにいつものことでしょ?」



い、いつものことだぁっ!?



あたしのお口はさらに大きく開かれた!!


「でも敵の応援するなんて、味方はあまりいい気持ちはしないぞ!」


「もう!説教は聞きたくないのに〜!太助はバツが悪いといつもそうなんだから。……ふふっ!でもそこが好きなんだけどね?」




ぐはぁっ!!!



す、す、好き?!!



サラリと言ったその “好き” のフレーズに思わずたじろぐあたし…。



すると主将はゴホン!と咳をすると、


「あ!俺、呼ばれてるからもう行くな!……橘!伝言わざわざありがとな!」



と爽やかな笑顔を纏った。



「……え?…い、いえ。」



と、あたしは相変わらずの引きつった笑顔で主将に挨拶をする。