「やめて……くださ………、っ!」


優子は泣いてるようにも見える。



ヒロはそんな彼女を見下ろして、口元を歪ませた。


「優子ちゃん。安心しろよ。俺、今は自分の “ペット” の事で頭がいっぱいだから。」



そしてヒロは踵を返すとそのまま屋上の扉へと歩を進める…。




しかし。




「あ!それとさ、ひとつアドバイス。」



と、何かを思い出したかのように立ち止まると、

再び優子の方を振り向いた!




「エッチしてる最中に逃げだす男は用心した方がいいぜ。ロクな男じゃないよ?…じゃあな。」


と、またいつも通りの学校で見せるヒロの表情に戻っていた。



そしてヒラヒラと手を振りながらヒロは屋上を後にしたのだった………。





でも、最後のヒロの呟きは優子の耳には届かない。


「ま、俺のペットを傷つける奴は、好きな男だろうと親友だろうと全力で捻り潰すけどな……。」



ヒロの心に芽吹いた感情は着々と育っていたのだった…。