ポンポン。



「へ……?」



冴木があたしの頭を優しく撫でてきた!




ポンポン。


「よしよし。利口な猿だ!飼い主を心配してわざわざ迎えに来てくれたのか…。」


「なっ!?だ、誰が飼い主…!」


「ありがとな。嬉しかった…!」


そう言って冴木はいつかあたしに見せてくれた、
無邪気な笑顔を満面にこぼした。




ドキッ!



うわ!な、なんだ?!


妙に心臓の辺りがドキドキするぞ??



そ、それだけじゃなくて、


身体の熱が急に上がったみたいにカァーッと熱くなってきた!


自分の予期せぬ身体の異常に戸惑う。



「さてと、じゃあ帰るか!幸子さん今頃心配してるだろ。どけ、サル子!俺が漕ぐ!」


「え!!ちょ、ちょっと!?」


冴木があたしをどかせてハンドルを握る。


「ほら!早くしろ!今日は特別サービスだ。この俺が漕いでやる!」


「な、なんだよ!偉そうに!!」




この日は夜風が吹いて、涼しい夜だった。


でも、この時のあたしの灯った熱はなかなか冷めず…。



そして前にいる奴の背中は驚くほど広かった……。