「なにかって何?」
ずるずるっと知沙は男らしくうどんをすする。


「例えばね、イケメン転校生!とか、先生と生徒の恋!とか?」


知沙はうどんを吹き出しそうになっていた。


「杏、かわいいね。おもしろすぎる。そんなことないの、ありえない話だよ~」


小馬鹿にしてるな。知沙の野郎。

ちょっとふっかけてみる。

「こんまえサッカー部の竹内に告白されてたくせに」


にや~とあたしが笑うと、
知沙は顔を真っ赤にした。


「なっ、なんで知ってんの!!」

「あたしにはお見通しなのさ」


ふふんとあたしは鼻で笑った。
知沙とはあまりこういう話はしない、
あたしが恋愛に疎いからだ。


気を使ってか知沙はあたしに話す事をためらうようだ。
寂しい気もするけど仕方ないことなのかもしれない。


年の数だけ彼氏がいないあたし。
興味がない訳ではないけど、
恋というのがよくわからない。


キュンてなんだそれ!て感じ。