「葉月っ‼︎」

背後から聞こえた大きな声で叫ばれる私の名前。

飛び上がって振り向くと、肩で息をする雄也がいた。

「シーッシーッ‼︎見つかったら今度こそ殺されるしっ‼︎」


慌てて口の前で人差し指を立てて篭った声を出す。

「あ、ごめん…。」

「いいよ。で、何の用?」

一気にシュンと肩をしぼめる雄也が面白くて思わず笑ってしまう。

「その…話があって…。」

「話?何?」

「えっと…。」

私の問いかけに気まずそうに雄也は私の隣を見た。

そうだ。

海斗がいた。

「ここじゃ言えない話?んじゃ、向こう行こ。海斗先行っといて。」

「へーい。」

よくわからない表情の海斗だったけど、一応スタスタと教室の方へ歩いて行ってくれた。

「はい。何でしょう?」