「ああーっ。腹がもう駄目だわ。」

屋上に着くなり倒れこんだ私は俊足でお弁当を食べ始めた。

「ん?海斗、パンなんだ。」

「ああ。今日母ちゃんが寝坊した。」

「そ。」

あまり会話もせずに黙々と食べる。

「おい。足りねえ。それくれ。」

コンビニのパン2つを驚くべき速さで食べ終えた海斗は私の卵焼きを指して言った。

「あらお目が高い。これは私が作った…。」

「やっぱ、唐揚げ。」

「何よ‼︎それ。卵焼きならあげてもいいけど、唐揚げはあげないっ‼︎」

海斗の失礼さにふいっとそっぽを向き頬を膨らませた。

「ぷっ。はは。じゃあそれちょうだい。」

大きな口を開けて笑う海斗。

ドキン

頰が赤いのがばれないように膨れっ面で弁当のケースを突き出した。

「箸は?」

「へっ?」

海斗の発言に思わず返事がおかしくなった。

「いや。へっじゃないだろ。俺行儀いいし。」

「いや、でも。」

「何だよ。意識してんのか?」

ニヤッと笑いながらそう問いかけてくる。

「〜〜ッ。違うし‼︎使いたいなら使えば‼︎」

「へーい。」

海斗ってこんな奴だったっけ⁉︎
海斗ってこんな奴だったっけ⁉︎

そんなら思いだけが胸を交差する。

なんの遠慮もせず、海斗は私が口をつけた箸で卵焼きを掴み口に入れる。

モグモグと顎を動かし笑顔でいう。

「うめえじゃん‼︎」






「…当たり前でしょ。」

それだけしか言えなかった。