「馬鹿にしないでね…?」


「先輩を馬鹿にする後輩なんていないと思います。」


「あの…ね、その、だから、えと…、」


歯切れ悪く話す咲絢さん。


よっぽど言いにくいことなのか。


私は安心させるように言った。


「大丈夫です。誰にも言いません。だから、話してください。
1人で背負い込むってすごくキツイと思います。」


その言葉に安心したのか、咲絢さんは決意したような表情でゆっくり話し始めた。


「私…1ヶ月前くらいから…蓮さんと他の女の子が喋っていたら、何故か胸の辺りが苦しくて…何か病気なのかもと思って。昨日病院に行ったんだけど、何もないって言われて。
安心したんだけど、バスで蓮さんが隣に座って、そしたらまた胸の高鳴りが収まらなくて…。
これなんなのかしらっ?」


ほら。
漫画のさ、すっごい驚いて目玉がボーンって飛び出てる絵あるじゃん?


多分、その時、私、真剣にその顔してたと思う。



「えーと、蓮と他の女子が喋ってたら胸が苦しい。
蓮が隣にいたら胸が高鳴る。」


必死で頭の中を整理させようと、ブツブツと繰り返し呟いた。


しかし、やっぱり私は一つの結論にしかたどり着けなかった。


「あのー、それって恋なんじゃないでしょうか…?」


「こい…?」


「はい。」


目を見開いて呟く咲絢さんに大きく頷いて見せた。