「初戦が大事だ‼︎力入れて行くぞっ‼︎」

「うすっ‼︎」

円陣を組んだ部員たち。
蓮の掛け声に合わせて他の部員も返事をし、コートの中選手達は散らばり試合が始まった。

蓮と海斗が2トップ。
まあ当たり前かなと思う。

ホイッスルが鳴った瞬間、海斗はボールを我が物とした。

相手は何度かしたことがあるが、全てこっちの圧勝の学校。

海斗にボールを取られてしまってはもうGKにかけるしかないだろう。

向こうの選手達が必死にボールを奪おうと独走する海斗に攻め込むが、それを物ともせず抜けて行く海斗。

そしていつの間にかもう相手のゴールの前にいた。

しかし、海斗は走ることをやめず、そのままスピードを付け右から強烈なシュートを放った。

「うおおおおおおおおおっ‼︎」

50人を超える補欠部員の歓声が響き渡る。

「やったあ‼︎」

私と結衣ちゃんも手を取り合って喜ぶ。

「咲絢さんっ‼︎」

「…。」

まただ。

コートの方を見つめ表情を変えずにボーッとしている。

「咲絢さんっ⁉︎」

肩を揺らして少しボリュームを上げて名前を呼ぶと、咲絢さんはハッとしたようにこっちを向くと、

「あ…あ、やったわねっ!」

点が入ったことに今気づいたような反応を見せる。