アップ、開会式、一回戦が着々と進んで行った。

私たちはシード校だから2回戦からだし、それまではよその試合を見たりして時間を潰していた。

「そろそろだねえ。移動しよっか。」

我が桜武高校の試合も間近に迫り、ゾロゾロと移動を開始した。

マネージャーである私たちも一番後ろで救急箱やスコアブックを抱えて移動を始めようとした。

「咲絢さん?」

ふと後ろを振り向くと咲絢さんはボーッとしてそのまま動こうと言う様子がなかった。

肩を叩いて呼んだ。

「えっ?ああ…移動か。」

咲絢さんは小さくつぶやくと表情も変わらず無表情のまま歩き始めた。

そう言えば、今日はそんなに喋って居ない。

どうしたんだろうと疑問を抱きながら咲絢さんの後ろを歩いていた。