「遅えんだよ。走ってこいアホが。」

「文句言うなら手伝ってくれなーい?」

「嫌だね。それがマネージャーの仕事だろ。」

「へいへい。すみませんねえ。」

慣れたそぶりで海斗の後ろに乗って腰に手を回す。

それを確認すると海斗はペダルをこぎ始めた。

「明日、絶対優勝だからね。」

「あったりめえだろ。ハットトリック見せてやらあ。」

ハットトリックっていうのは一度の試合で同じ選手が三回ゴールを決めること。

「ふふっ、期待してやるわ。」

「ハットトリックしたらなんか奢れよ。」

「えー。やだよ。」

「うるさい。もう決まったんだよ。」

「このわがまま。」

「ぶす。」

「ぶすじゃないもーん‼︎」