「そういや、美玲とか翔吾とかはどうしてんの?」

《とか》に隠されたもう一人の名前を私はわかる。

だけど、表情は変えずに。

「美玲はねー…ビックリするよ。なんと、人気雑誌のモデルやってんの。しかも超人気。
しかも、今は女優の卵として色んなドラマとか映画に抜擢されててさ、演技が上手いって今、若手の中でも一番力持ってんじゃないかな?
絶対知ってると思ったのに。
やっぱサッカー馬鹿はテレビを見ないのね。」

「モデルー⁉︎⁉︎
知らねえし。そんなの。
は?なんで?」

「いやー、中3の時にー2人で東京行って渋谷歩いてたら2人かわいーねって写真撮られてさ、モデルにならないって本気で誘われたの。
私はなる気なかったんだけど、ギャラが高くてさ、美玲はそれに目をハートにしてさ。
んで、軽いノリで読者モデルになったらめちゃくちゃ人気出て、もう専属モデルになってくれって泣きつかれたらしくてさあー。
で、美玲は今、東京の芸能科がある学校に一人暮らしして通ってるよ。」

「いっ、色々とあったんだな。」

「うん。」

「それからー、古川君は美玲とまだ続いてて、隣の東校に通ってるから、まー、会おうと思えばいつでも会えるよ。」

「そういや、バスケ強いらしいもんな。」