「さっさと動かんか!B!」

重たい水筒が入ったかごを背骨を曲げて持ち、グラウンドにつくと、いつ来たのか、監督の笠原先生がいつもの剣幕で怒鳴り散らしていた。



笹原先生は今年53歳のおじいちゃん先生のはずだ。



《はず》だよ?



実際は50代を過ぎてるとは思えない強烈な体力、そして、迫力。



どれだけ、怒鳴り散らしても絶対に声を枯らせない先生には本当に尊敬する。



髪の毛をカラフルに染めた不良たちも他の先生は舐め切っているけど、唯一笹原先生には逆らわない。



それほど、怖い先生なのだ。



だけど、桜武高校を全国に名を知らす強豪校として持ち上げてくれたのは、間違いなく20年間ここの監督を勤める笹原先生。



そして、これはサッカー部しか知らないだろうけど、笹原先生は打ち上げなどの時は一緒に楽しく盛り上がってくれるし、試合に負けて悔しい時は一緒に声を上げて涙を流してくれる。



オンとオフの使い分けがきっちりできている笹原先生。



だから、部員達もどれだけきつく怒鳴られても絶対に笹原先生を尊敬する気持ちが変わることはない。



勿論、私も一人一人の生徒の心に寄り添ってくれる笹原先生が大好きだ。