少し駆け足でバスがあった辺りに急ぐ。
あ、あった!
見慣れたバスを見つけて安心して速度を緩めて運転手さんに話しかけた。
「すみませーん!バスの中に落し物ありませんでしたか?」
運転手さんは少し考えるような素振りを見せたが、思いついたように手を叩いて言った。
「黄色いファイルだろう?君らが行ってすぐ見つけたからどうしようか迷っていたんだがね、そこら辺歩いていた女の子が君らの相手チームのマネージャーさんらしくてね、持って行くって言ってくれたから渡しちゃったよ。」
少ししゃがれた声で笑いながらそう話す運転手さん。
「え⁉︎本当ですか?どうしよー。」
「ついさっきだったからまだ会場に向かってるんじゃないかなあ?」
そういえば、会場への道は2通りあった。
相手チームはそっちを通ったんだろう。
仕方ない、追いかけるか。
運転手さんに頭を下げて、全速力で来た道とは違う道へ走った。