一気に桜武の気持ちは高ぶり、選手たちの緊張もなくなったようだ。

「もう一点決めよー!」

ベンチメンバーも声をかける。

ふと、海斗を見る。

あいつは悔しがってんじゃなかろうかと。

だけど、そんな想像馬鹿みたいに思えた。

そんな風に思った自分を殴りたい。

海斗は何の悔しさも感じられない本物の笑顔を浮かべていた。

そこにはサッカーを楽しむ海斗が見える。

そうだった。

恋とか友達とか、そんなことばっかりで忘れてた。

勝利も勿論大事だ。

だけど、一番大事なのは「サッカーを本気で楽しむ気持ち」じゃあないか。

日差しに照らされ背中が輝いて見える海斗を見つめて目を細めた。


すうっと大きく息を吸い込み、ありったけの声を出した。

「桜武ファイトーーーーッ!!」




キラキラと輝く視界の中海斗がこっちを見て笑ったような気がした。