「桜武ファイトーッ!!」

私たち、ベンチのメンバーも出来る限りの声を出す。

滝本くんはまるで、ボールが滝本くんに吸い付いてくるからのように驚異的な速さでボールを運ぶ。



もうゴールの前へやってきた。

どう出るか。

向こうのチームだって全国まで勝ち抜いてきたチームだ。

いつ何が起こるかなんて分からない。

無意識に胸の前で両手を組んでしまう。

「お願いっ!」

滝本くんは気も、スピードも緩ませることなく太陽の見えるその白いネットに向かってボールを蹴りこんだ。