「おーい!そこのお二人さーん。
いちゃついんじゃねえよ。円陣組むぞ!」

その言葉にハッと意識が戻って私たちを見つめる部員たちの元へ走る。

肩を組み合い、ゆっくりそれぞれの顔を見渡す。

準備は整ったとでも言うように蓮はスウッと息を吸って喋り始めた。

「よしっ、俺らの力一発目から見せつけてやるぞ。
声出して!桜武ファイトッ!!」

「ファイトっ!!」

恒例の掛け声に合わせて力強く声を出し右足を強く踏み出した。

レギュラーに選ばれたメンバーも、
ベンチメンバーも、
ベンチにも入れなかったメンバーも、
マネージャーも監督も、
保護者たちも。

全員の目が勝利への希望に満ちている。

これが私たちの本当の夏の始まりだ。