「…勝てそうなの?」



目線を落としながら呟いた。



一回戦の相手は運の悪いことに毎年ベスト8常連校なのだ。



今年はうちも精鋭揃いだが、向こうの学校も優勝を狙ってくるだろう。



まあどうせいつかあたるんだけど。


「…。」



長い無言に耐えきれず思わず、顔を上げると。



「にょっ!?」



その瞬間、頬を海斗の両手で挟まれ妙な声を発してしまった。


「ちょっ、にゃにしゅんにょよ!」



その手から逃れようともがく。


「ははっ。」


海斗はあろうことおもしろそうに笑いながらその両手を下に落とした。


「ねっ…!」


やっと口が軽くなった時。


「やっと俺の顔見た。」


「へっ?」



予想もしていなかった海斗の言葉に思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。



「俺、絶対優勝するから。
こんなとこで絶対負けねえよ。」