「っ!!」


私の行動に雄也が目を丸くする。


私は雄也の手を両手で包み込んだ。


そして、雄也の目を見てしっかり聞こえるように言葉を発した。


「ごめんなさい。
雄也のことを好きになれるなら好きになりたかった。
だって、雄也は私を好きでいてくれるもん」


私の言葉に


「じゃあなんで…」


と、納得できないといった顔で雄也が言う。


「でもさ、そんなので付き合うなんておかしい
捨てられない保証があるから付き合うなんて、雄也にも失礼だし、雄也のことが好きな人にも失礼。
私の失恋に付き合わせてるだけなんだよ」


「そんなことない!!」


「ある。
それに、勝手だけどさっき思ったの。
これはこんな中途半端なままじゃ終われない恋だって」


ずっと無言だった雄也がフッと息を吐いてボソッと言った。


「葉月って相当なバカだな…」


「うん…。わかってる」


「後悔しても知らないからな」


「絶対後悔すると思うよ。それでもいいの」


「はあ…。葉月のことずっと大好きだった。きっとこれからもそう簡単には忘れられない」


「うん。ごめんね」


「無理やりキスしてごめんな」


そう言って、申し訳なさそうに私の頬を撫でた。


「幸せにならないと許さないからな」



「それは保証できない。でも雄也めちゃくちゃいい彼女見つけてよ」


「当たり前だろ。いつか葉月が後悔するくらいいい男になって葉月なんか目じゃない彼女ゲットするから」



「ハハ期待してる」



しばらくしてじゃあ俺行くわと言って雄也は私に背を向け教室と反対方向に歩いて行った。