「何馬鹿やってんだよ。」


ボソッと呟かれたその言葉は更に私の血圧を高くする。


「ば…か…?意味わかんないし‼︎馬鹿ってなによ⁉︎何で私が責められなきゃいけないの⁉︎悪いのは全部海斗じゃん‼︎」


まるで小学生の言い合いのような幼稚な言い分を通そうとする私。


うわ。

これ客観的に見たらきっと私が悪者だな。

だけど、止められない。

背伸びした言い方なんてわかんないよ…。


「何よ⁉︎その目⁉︎私が何かした⁉︎私はずっとずっと裏切られて…。
今は雄也が好きだからいいの‼︎
雄也は私を傷つけないもん‼︎」



パンっ



その瞬間、乾いた音が部室に響いた。

一瞬で頰に突き刺すような痛みが広がる。



ポロッと瞳から一粒涙がこぼれ落ちた。

一粒だけ。

たったの。


それは叩かれた頰の痛みによるもの?

それとも、ずっと痛み続ける心によるもの?


答えなんかわからない。