「ああ〜っ‼︎すっごく面白かったね‼︎」


出口から出て、バッグを握りしめて隣の雄也を見た。


ふと気付いた。


雄也の顔が少し青くなっている。


なんで?


「すげーな…葉月。血がドバーッて…。うわ…思い出すだけで吐きそう…。」


虚ろな目で口を手で覆いながらポツリポツリと話す。


「え、そんなに無理だったの⁉︎」


驚いて思わず立ち止まって叫ぶ。


周りの人たちにチラチラと見られたけど気にしない。


今はこっちの方が大事だ。


「いや。昔、俺、目の前で事故あってさ…。それから血見るだけで吐き気がしてさー。もう大丈夫だと思ってたんだけど…。はは。情けねえな。」


顔が引きつっているのが一目でわかる。


私、何やってるんだろう。


私がこれが見たいって言った時雄也の顔は完全に引きつっていた。


なのに気づかないふりして。


最悪じゃん。私。