「ホントごめんなさい…。」

あれから、私は、ポップコーン、ドリンクまでおごってもらい…。

想像していなかった出来事に今更焦ることもできず、深々と頭を下げていた。

「だからいーってば。ほら行くよ。」

苦笑いしながら私の頭をポンッと撫でると入場口の方へ歩いて行った。

慌てて追いかけて、中に入る。

でも絶対悪いよね…。

私、一応雄也のことフったし。

そんな奴に奢るってどうなの?

アピールってことで済ませちゃっていいの?

たくさんの不安が胸の中に渦巻く。

そんなことを思い俯いていたら。

パコンッ



頭に軽い衝撃が加わる。

頭を抑えてギロッと叩いてきた人を睨むと、そこにはパンフレットを筒状に丸めて持ち、大笑いする雄也がいた。

「なに。」

低い声でつぶやくと、雄也は笑いながら言った。

「俺はそんな顔が好きなんだって。真剣に悩んでそうな顔すんな。」

「え…?」

「だーから、俺が好きで奢ったんだから葉月が気にすることないよ。」