「葉月ーっ‼︎」

海斗も戻ってきて、練習も終わり、後片付けを1人、黙々と進めていると。


蓮が笑顔で私の名前を呼びながら手招きをしている。

明るい笑顔をネガティブな今の私の心は嫌う。


その笑顔さえも不快に感じてしまう。


ああ。


もう嫌になる。


トボトボと蓮の手招く方へと歩いていく。

「はあ…。」


小さく溜息をつく。


「うっわ。お前酷い顔してんなあ。」


「うるさい。」


呆れ顔で蓮が言う。


残り少ないエネルギーで言い返す。


ったく、もうちょっと人の心を思いやれないものだろうか。


「何の用?咲絢さんに誤解されたくないんだけど。」


「咲絢にはもう事情は話してるから。」


「んじゃ何よ?」


「荒れてるなー…。」



冷たく聞き返す私に蓮はため息をつきながら呟く。