ってそんなこと思ってる場合じゃない。

あんな女の子たちにデレデレしてる海斗なんてほっといてさっさと部活いこっ‼︎

女の子たちの塊をちらりと横目に見てそのまま素通りしようとすると。

「葉月‼︎」

「あー?」

大きな声で私の名前を呼び、群れをかき分けて私の前に現れた海斗。

「何よ。デレデレしちゃってー。」

ふんっと素っ気なく呟くと、海斗は悪びれた様子もなく私を鋭い目で睨む女子たちに向かって手を合わせて。

「ごめん。俺もう行くから。じゃあ色々ありがとねー。」

そう言うと私の腕を掴んで素早く走り出した。

「海斗‼︎」

「海斗君‼︎」

「海斗先輩‼︎」

女子たちが叫ぶが、サッカー部1の俊足には付いてこれず。

部室へと着いた。


「ってえええええ‼︎私が付いてこれるとでも思ったのおおおお⁉︎もう死にそうだったしっ‼︎」

顔を赤くして荒く息をし、海斗に怒鳴りつけた。

「なんだよ。人助けと思ってさー。
あ。もしかして妬いてる?」

にやにやと笑いながら整った顔を私の顔の前に近づけてくる。

「ばっ、ばっかじゃないの?んなわけないでしょ。」

「素直になりなよ。葉月ちゃん?」

「うるさい‼︎」

不思議だ。

やっぱり、海斗といると自然と笑える。