私は呆れながらも、皆の顔を見られてホッとしていた。

 色々な人達の想いで、私は今ここに居るんだ。
 生きてる。

 桜里を見上げれば、彼は微笑んで私の額にキスをした。


「……愛してるよ、雪姫」


「……それは俺のセリフだ」


 真野社長にもたれかかったまま、皇が低く唸って。
 それを聞いた真野社長が笑った。



ーーそして、皆が病室を出て、私は皇と二人きり。
 皇はベッドの端に腰掛けて、その手で私の頬を撫でた。

「あの野郎に、どこまでされた?」

 その目は私を気遣うように、すこし怖れるように揺れて。私も何故か、緊張してしまう。

「お着替え、まで」


 身体に異常は無い。検査をした上でも、私の外傷は手足の擦過傷のみで。
 気絶させられた間に、無理矢理……なんてことは無いようだった。


「どこ、触られた?」

 皇の瞳が少し、力を帯びる。

「えと、そりゃ腕とか、お腹とか、胸とか、足とか、……何してるんですか」

 私の問いに、彼は私の病院着に手をかけながらこちらを見た。

「消毒。前にもやっただろ」

「何考えてるんですかっ」


 真っ赤な顔で諌めたって無駄で。
 皇は私の腕をつかんで、のしかかる。