男は楽しそうに私を撫で回しながら衣服を剥ぎ取って行く。

 あああ、お気に入りのスカート!絶対、後でボコる!!

 目的はあくまで着替えさせることだと我慢して、相手の視線に晒されていた私だったけれど。
 つ、と鎖骨に指を這わされて、その手が下着を押し分けて胸へと侵入してきたのを拒んで、皇、と小さく呼んでしまった、瞬間。


「どうして他の男を呼んだりするの」


 怒りに満ちた、声。

 は、と気がついた時には男の顔が間近にあった。
 その手が私の首を掴んだ。

 ヤバイ、スイッチ、がーー。


「……だ、やだやだ、ーー皇っ!!」


 一気に押し寄せた、身の危険に死に物狂いで暴れて、愛しい人の名前を呼ぶ。


 助けて、
 助けて、皇ーー!


「っ、大人しく、しろっ」


 男が強く強く私の首を締め上げて、私は息が出来ずに涙を零した。



ーー皇。


 どうしよう。私、もうダメだ。

 会いたいよ、皇。


 今すぐーー。



 やがて、目の前は真っ暗になった。