「…ちぇ、何だよ梨華の奴ぅ」

あたしは、唇を尖らせながら歩いた。

梨華は、告れって言ったけど、心の準備が出来てないんだよぉ――。

あたしはブツブツ言いながら、ふと窓を見た。

「あれ？」

見覚えのある後ろ姿が目に入ってきて、一度目をこすって、もう一度よく外を見た。

「…亮太と、榊原さん？」

榊原さんとは、学校一の美少女で、雑誌の読者モデルもしている人だ。

何の接点もないはずの二人が、何故か一緒に居る。

「…何やってんだろ？」

目を凝らして、よーく見てみると…何やら榊原さんが亮太に手紙を渡していた。

「…ラブレター？」

あたしは、とっさに思い浮かんだ言葉を発した。

亮太は、そのラブレターかもしれない手紙を、照れ臭そうに受けとる。

……あたしは、見ていれなくなって、窓から目を反らした。