「おはよー、呼んだ……よね?」
「おはよーだね!
ね、ほんとに二人は付き合ってないの?」
廊下にいるのに大音量。
それに美妃はこの話ばっかりで…
『付き合ってないってば。
声おっきいよ……』
「んん、美妃ちゃんらしくていいと思うよ」
癖のついた、ふわふわの髪の毛を揺らしながら微笑む。
男子にしては、長い部類に入る気がする。
『褒めるところじゃないし』
「なーに、ヤキモチ?」
冷やかすように耳打ちしてくる美妃。
このやりとりは何回……いや、
何十回もしたはず。
『絶対にない』
私はきっぱりと言い捨て、
教室に入った。