「今ここでそんなこと話したって何にもならないだろ、な?」

千秋は本能的にまずいと感じた。
健也は心に踏み込まれるのを恐れている。
だから自分から葉月へ過去の話をした。
だがそれは全てではない。
健也のことだから作り話も言っているだろう。
千秋はそれを察していた。
葉月はそんな健也に踏み込もうとしてる。
きっと健也の破らなきゃいけない殻を破くためだろう。

「健也くん、隠し事しないでよ、もう。
つらいならつらいって言えばいいじゃない」

「つらくないよ。だから言ってないんだ。
つらくなったら言うから」