健也はふと思った。

さっきから阿月は一言も声を発しない。
だけど筆談で話している。
初めて気持ちを伝えてくれた。

嬉しい気持ちでいっぱいになったが違和感が残った。


「阿月…声に出して話してみて」

阿月は口を閉じて首を横に振った。

「どうして…?」

健也は恐る恐る聞いてみた。
それに対して阿月は答えない。

「嫌ならいいんだ。ゆっくりでいいから」