朝になり、健也はいつものように仏壇の水を変える。

手を合わせ、線香をあげる。

「おはよう」

その時間はまだ千秋は爆睡している。


その日、健也の顔色はあまりよくなかった。
夢にルナが出て来たのだ。
夢の中のルナは寂しそうな顔をして、健也の腕からすり抜けていく。
どんなに追いかけても、
どんなに手を伸ばしても、
どんなに抱きしめても、
ルナはどんどん遠ざかる。









健也はあの日の後悔から抜けられずにいた。